ホームカミングデー梅原猛氏講演

2011年11月12日(土)

京大のホームカミングデー。
いろいろ催しがありましたが、午後には梅原猛氏の講演会。
86歳の哲学。

東日本大震災は、文明災でもある。科学技術文明の発達により享受している原発が事故で災いを起こす、現代の文明そのものが問われたことで、哲学者としてショックであったと話しはじめられました。

デカルトからざっと哲学史をおさらいしていくなかで、随時、ご自分の考えをわかりやすくのべられる。能「白楽天」における世阿弥の「うたは人間ばかりか、ウグイスやカエルさえも歌うものであり、雨の音、風の音もまた歌である」という考えを披露され、ハイデッガーの「人間だけが詩をよくし、それが理性の哲学の必然的に辿り着く狂気の沙汰の文明からの救い」に対抗。
そして、西洋に於いて科学技術文明の危機を救う哲学は存在しない、と。

古代エジプト思想の太陽神ラー・水の神イシスがあったように、近代においても、農耕文明の基本である日と水の神を忘れてはいけないのではないか。
原発エネルギーの行き詰まりから、自然エネルギーを考える今、エネルギー問題を超えて哲学の問題としてもかんがえるべきで、そういう「新しい科学」「思想」「政治」が日本、この京大から生まれ、人類に貢献してほしい、と格調高く締めくくられました。

先日の山極壽一氏の「ゴリラもうた(ハミング)をうたう」という話を聞いたところだったので、比喩にしても「歌は人間だけが歌うのではない」という白楽天、そしてなんどか口にされた今西錦司氏、西田幾多郎氏への敬愛・・が心に残りました。

暖かいまなざしで、メッセージを熱っぽく語る86歳のお姿、心動かされました。

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