最後の審判

2012年10月22日(月)
我が輩は、コンクリートの階段、のようだ。
名前は・・昔あったような気がするが、遠い昔なので思い出せない。
いや、一番上の段はイスのようではないか。

ボールを追う歓声がなくなって久しいが、平穏で安らいだ日々を送っていたと思ったら、十日ほど前に身の回りで大きな工事があって、足下は小ぎれいな砂利が敷き詰められた。

あー、いや、私はトマソンではない。
無用の長物かもしれないが・・。好きでここに立っているわけでもない。



そう、かつては、青春のシンボルだったテニスの審判台であった我。
流行のコンクリートで作られ、ちょっとかっこいいものだった。
大学の研究に疲れた若き学者たちが、汗を流して気分転換しただろう。
研究室の窓から、そっと眺める恋物語もあったかもしれぬ。

しかし・・・いつか、テニスコートが復活する夢もかなわず、この秋、コートだった地面はアスファルトで固めた駐車場になり果てた。
我はそれをただじっと見ているだけ。もう一度だけ、審判をしたいものだ。最後の審判を。

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